看護師さんにつれられて手術室がある病棟にやってきました。
手術室の入り口で手術室担当の看護師さんに迎えられて、氏名と生年月日の確認。
壁には一面にその日の手術の予定らしき張り紙がしてあり、それぞれの手術の担当看護師さんや執刀医らしい方が並んでいる。
看護師さんが自分の担当看護師さんに引き合わせてくれた。
手術室は15室あり、ずらりと並んでいる。
通りすがりに覗いてみると、驚くほど広い部屋に様々な銀色の機械が所狭しと置かれていた。
壁もステンレスの板が張り付けてあるのか、銀色でピカピカだった。
ようやく自分の手術室にたどり着き、そのまま歩いて手術台の傍らに立ったところで、再度氏名と生年月日の確認。
すぐにベッドに腰掛けてください。と言われて階段のような足場をのぼる。
すぐに横になってください。と言われて横になる。
イメージしていた丸く大きな無影灯ではなかった。
どんな形だったかは思い出せない。
麻酔科の女先生が「麻酔の準備を始めます。」と話し掛けてきた。
前日の全身麻酔の説明の時に、長い点滴生活ですっかり注射と点滴が嫌いになり、針も入れにくい血管になっていたので、血圧測定用に手の甲?の動脈にいれる針は「麻酔が効いてからにして欲しい!」とお願いしていた。
麻酔による血圧変化が見れないから「だめ。」と言われていた。
そのかわり痛くないように手っ取り早くやってくれるごとになっていた。
しかし、残念ながらいちばん最初の鎮静剤を射つために、左手の甲の血管に指す針が入らない。
緊張のためか痛みは感じない。
5回くらい針を刺し直された頃に、麻酔科の先輩医師らしき男性が、担当の女先生に「早くしろよ。眠らしちまえ。」と、いう趣旨のことを言うのが聞こえた。
担当の麻酔科の先生はひたすら「痛いですね。ごめんなさい。ごめんなさい。」と謝り続け、ようやく針が入った頃にはとても血圧測定用の針を射てる状況ではなかった。と思う。
すぐに別の看護師さんにマスクを被せられて「眠くなりますよ。」と、言われて意識がなくなったから。
目が覚めたとき、丸い壁掛け時計が12時をさしていた。
昼なのか夜なのかもわからない。
うとうとして少し眠ったと思ったら、1分くらいしか時計の針は進んでいない。
これを何十回も繰り返して、きっと時計が壊れているんだ。と思い直したところに看護師さんがやって来た。
今は夜中の12時過ぎで壁の丸い壁掛け時計は壊れていないことがわかった。
あとにも先にも、この時ほど時の進みが遅く感じたことはない。
痛みと息苦しさ、時間が進まない不安、薄暗い部屋、不気味な機械音、水が漏れるようなぴちゃっぴちゃっした音、手術がうまくいったのか?、いかなかったのか?
何にもわからなくて本当につらい夜でした。